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華姫+様の日常

華姫+様の日常

第一話

RED STONE   [放浪花嫁]


『いいかい?お前は禁忌を犯したんだ。』

暗い

『魔界警察のお前が、天使と愛を誓うなんてもってのほか。』

冷たい

『本来ならば、お前は婚約者と結婚しなければならなかったはずだろう。』

痛い

『お前なんかが魔界にいられると、こっちは困るんだ。』


鉄の匂い





『早く俺の前から姿を消してくれ。』




***



降り注ぐ刃の様な雨。
そんな雨が、私の体を打ち付ける。

私の名前はシェルビア。
アーチャーとしてこのRED STONEという世界に住む。
表は「旅人の集い」というギルドの副GM。
しかし、このGは他のGとは違うところが1つだけあって数名の者だけしか知らない秘密がある。

-裏スパイ機関[紅放浪人}-

国からの要請によって作られた裏機関だ。
現GMはその存在を知らず、今は数名で管理している状態だ。
私はその団長を務めている。
信頼の厚さと人気度によって選ばれたらしいが・・・。


まぁ、個人的に敵軍に突っ込んでったりするのは好きな方だから良しとしようか。


隣を歩いているのはリアル。
ウィザードとして、この私と共に活動している「旅人の集い」副GM。
[紅放浪人}幹部である。
私の幼なじみで、幼い頃からライバルでもあった。
まぁ、リアルが私に勝ったことなど一度もないのだが。

本人曰くかっこよすぎて頼りになりすぎるらしい。
まぁ、私からみても顔は悪くないし(好みじゃないけど)頼りにはなるし(結果的に間違ってたりするけど)。

そんな彼は孤独を人一倍嫌う。


小さい頃、親に捨てられ私の家で引き取った彼は「孤独」に恐怖心を抱いている。
その分自分で意地を張っているのかもしれないし、見捨てられたくないのかもしれない。

だから2人はいつも一緒。

恋愛感情などないのだが、二人は仲がいい。




いつものようにRED STONE総合管理局から帰る道で話す2人。
しかし今日は空気が違っていた。

「なぁシェル。なんか、空気重く感じないか?」
「うん。私もさっきから思ってたのよ。なんかこう・・・異界というか・・・・。」
「異界?」
「えぇ・・・あの・・・・・。」

「「魔界?!」」

思わず目を合わせる二人。

気を取り直してリアルがいう。
「でもさ、おかしいだろ。
 天使が追放されたあの時から異界との通信は切れてるはずだろ?」
「そうだけど・・・・・。

 リアル、ストップ。」
シェルビアに言われ止るリアル。
「なんか・・・・いない?」
「は?」
「ほら、あの噴水の影。」
「あ・・・・。」
槍を手に、近づくシェルビア。
杖を構えて止まるリアル。


「何者・・・・・・・って・・・・あら?」
シェルビアはリアルを手招きする。
「何?」
「この子・・・魔界警察の子じゃない!!!大変・・・体が冷たい・・・。」
「このままじゃ死んじゃうんじゃ・・・?でもなんでここに?」
「そんなの後回しよ。それより、早く運んで!」
「あ、了解!」





***



「旅人の集い」とプレートのかかった大きな家。
此処にはGメンバーが数多く住んでいる。
2人は物音をたてないよう、静かに医務室に少女を運んだ。

「リアル、凪さん呼んで来て。」
「了解。」
リアルは部屋を出て行く。
シェルビアは暖炉に火をつけ、少女の側に座った。
-どうしてこんなところに・・・-
傷だらけの体に毛布をかけ、シェルビアはあることに気付いた。
魔界追放の証。
鎖骨辺りに記された「MA」の文字。
そして、首にかかったマリア様のペンダント。
「?」
スライドさせて中を見ると、本来魔界警察との交流は禁止なはずの天使との写真があった。
「なるほどね・・・。」


「シェル、凪さんつれてきたよ。」
「お、ありがとう。
 あのね凪さん。この子、治療お願いできる?随分弱ってて・・・。」
「話はリアルさんから聞きました。お任せください。」


幻凪。
ビショップとしてこの「旅人の集い」を支えている。
[紅放浪人]の存在を知る数少ないメンバーのひとりで、幹部でもある。
その優しさから、周囲からの信頼もあつく、リアルを尊敬するひとりでもある。


「ん・・・。」
幻凪の治療が終わったところで、少女は声を出した。
「・・・・・!だっ、誰?!」
「落ち着いて。まだ体完全に治ってないんだから・・・。
 私はRED STONEギルド「旅人の集い」の副GM、シェルビア。」
「俺はリアル。えぇと、呼び捨てでいいよ♪」
「僕は幻凪。凪とでもおよびください。」
「そして、貴方は・・・魔界警察。そして、魔界を追放されたのよね?」
シェルビアがそういうと、皆の顔は凍りついた。
「ま、まさか。本来追放者は罰せられるはずじゃ・・・。」
「リアル。この子は魔界警察の子よ?警察にそんな汚点がつくくらいなら拘留のない人間界に落とすのが魔界じゃない。」
リアルは納得したように頷き、少女を見た。



「・・・・私は・・・・か・・・・華屡埜・・・と言います・・・・。
 貴方の仰るとおりです。
 元魔界警察・・・天使と関係をもち・・・・この・・・人間界に追放されました・・・。
 ・・・お・・・・お助けいただき・・・・ありがとう、ございます・・・。」
華屡埜はぎこちない口調で自己紹介をして、ぺこりとおじぎをした。

「かるのちゃん?あなた、助けてあげた代わりに私の願いを2つ聞いてくれるかしら。」
「は・・・はぁ・・・。」
「まず一つ目。「旅人の集い」に入ること。
 そして二つ目。」
シェルビアは華屡埜の目を見た。
「・・・・極秘裏スパイ機関[紅放浪人]に、入る事。」
「・・・スパイ・・・?」
「えぇ、このギルドの数名だけが知っている国家機関よ。」
「で・・・でも。」
「お願い、聞いてくれるわよね?」
華屡埜は一瞬黙って3人を見た。
「・・・はい。」


こうして、[紅放浪人]に新メンバーも加わり、新しい生活が始まった。




つづく


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